日本では少子高齢化が進んでおり、人材不足が深刻化する企業が増えています。このような状況下では業務配分に偏りが出て、チーム管理に課題を抱える企業もあるはずです。そこで今回は、業務配分に偏りが出る原因やリスク、対処法を解説します。
目次
業務配分の偏りが発生する4つの原因 |
チーム内で業務配分にばらつきが出ると一人に負担がかかり、さまざまな問題が起こります。とはいえ、知らず知らずのうちに業務配分にばらつきが出ることも少なくありません。業務配分の偏りが発生する主な原因には、次のようなものがあります。
それぞれの原因を細かく見ていきましょう。
1.業務の専門性が高すぎる
専門的な知識や技術は、すべての社員が持っているわけではありません。特定業務において専門的な知識や技術が必要な場面では、ノウハウを持つ社員に業務が集中するため、業務配分に偏りが出ることがあります。
また、専門的な知識や技術は短期間で身につくものではありません。人材が育つまではどうしてもノウハウを持つ社員に業務が集中してしまいます。ノウハウを持つ社員に業務が集中している状態を放置すると、属人化するおそれもあるでしょう。
業務負担の偏りを防ぐには、専門的な知識や技術をほかの社員に共有したり、教育したりできる仕組みを整えることが必要です。
業務配分に偏りが出る大きな原因として、業務のやり方が標準化されていないことが考えられます。
職場にはさまざまな社員がおり、職務経歴が長くて経験豊富な社員ばかりではありません。なかには、特定の業務に対して未経験だったり、経験が浅かったりする社員もいます。
誰もが業務に対応できる環境を整えられていないと、短期間で的確に業務を引き継ぐといったことはできません。その結果、経験豊富な社員に業務が集中し、業務配分に偏りが出てしまうのです。
未経験者や経験の浅い社員でも、それを読めば誰もが対応できるような業務マニュアルの作成などを検討する必要があります。
複数の担当者が業務に携わっている場合、一人ひとりの業務量を把握できず、業務配分に偏りが出ることがあります。特に多くの業務を抱える社員の場合、余裕があるほかの社員に任せたいと感じても、業務を引き継ぐ時間を確保できないことも少なくありません。
最終的に「業務を引き継ぐために説明をするよりも自分でやったほうが早い」といった考えになり、多くの業務を一人で抱えてしまいます。
各社員の業務量を把握できていない管理職は、仕事を早く正確にこなしてくれる社員に仕事を振るため、次々と業務を任されるといった状況に陥ってしまうのです。ITツールの導入など各社員の業務量を把握する対策を検討する必要があるでしょう。
なお、『monday.com』はタスクやチャット、スケジュール、プロジェクトなどを一元管理でき業務量の把握、業務配分がスムーズに行えます。
「自分の地位を奪われるかもしれない……」といった恐怖心から、あえて業務を多く抱え込む社員もいます。なかには、多くの業務を抱えているにもかかわらず、ほかの社員に業務を振らない方もいるようです。
自分の仕事に責任感を持って業務を完遂する姿勢は評価される反面、ほかの社員を排除して自分だけが居心地の良い地位を守りたいといった考えは、組織を成長させるうえでも良いものではありません。
このような状態を放置すると属人化するおそれもあるため、業務の割り振り方や評価基準を見直す必要があります。
業務配分の偏りで起こる4つのリスク |
各社員に業務配分の偏りが出ると、あらゆるリスクを引き起こす要因になることも多いです。場合によっては社外にまで影響を及ぼすこともあるため、慎重に対処しなければいけません。業務配分の偏りで起こる主なリスクには、次のようなものがあります。
それぞれのリスクを詳しく見ていきましょう。
業務配分に偏りが出ると、一人の社員が多くの業務を抱える状態になります。この結果、多くの業務を抱える社員がボトルネックとなり、チーム全体の業務進行が停滞するリスクが起こるでしょう。
チームで業務を進行している場合、各社員の業務が互いに関連していることも多いため、一人の進行が遅れてしまうとチーム全体に影響を及ぼします。
管理職は一人ひとりの業務量を把握したうえで、誰にどのくらいの業務量を割り当てるのかを正しく判断し、適切に業務を配分することが求められるでしょう。
業務配分が偏ると、ブラックボックス化が起こるリスクがあります。ブラックボックス化とは、業務遂行のプロセスが分からなくなることです。業務の属人化によって起こるもので、業務を担当した特定の社員にしか分からない状態に陥ります。
その社員が休んだり退職したりした場合、誰も業務遂行のプロセスを把握できていないため、以降の業務を進められなくなってしまうのです。社内の連携にも悪影響を及ぼすため、業務を見える化したりマニュアルを作成したりするなどの対処が必要でしょう。
業務配分に偏りが出ると、一人の社員に業務負担がかかります。業務過多の状態になると、業務の進行に遅れが発生することもあるでしょう。
このようなトラブルが起きたときは、無理をせずに周りに協力を求めるのが良いですが、社内の評価を気にして独力で問題を解決しようとする社員もいます。
一人でトラブルを解決できなかった場合は、業務進行にも支障が出るため、取引先との信頼関係が崩れる原因になるのです。場合によってはトラブルを隠ぺいする不正に繋がり、会社の信用問題に発展するリスクもあるため、早急に改善する必要があります。
業務配分に偏りが出ると、一人の社員に業務負担がかかることが多くなります。ただ業務進行の停滞を防ぐために必死に働こうとすると、毎日残業が続くなど長時間労働を招くおそれもあるでしょう。
近年は働き方改革の影響により、残業時間を削減する取り組みを積極的におこなう企業も少なくありません。会社で残業できなくなると、持ち帰り残業して何とか巻き返そうとする社員もいるでしょう。
しかし、このような無理をした働き方は長く続かないため、最終的に退職を決意してしまう方もいます。人材不足の課題を抱える多くの企業にとって、優秀な人材が流出するリスクはなるべく避けたいはずです。
業務配分を改善する4つのメリット |
一人の社員に業務が偏るとさまざまなリスクを引き起こすため、業務を見える化したり標準化したりなどの対処をする必要があります。
しかし、業務配分を改善するとどのようなメリットを得られるのかが分からない方もいるでしょう。業務配分を改善するメリットには、次のようなことが挙げられます。
それぞれのメリットを見ていきましょう。
業務配分の改善による大きなメリットは、属人化によるリスクを回避できることでしょう。業務が属人化すると、業務遂行までのプロセスや進捗状況を担当者以外が細かく把握できません。
これでは、業務効率が低下したり緊急トラブルへの対処が遅くなったりするなど、業務上さまざまなリスクが生じます。しかし属人化は、業務を標準化したり各社員の業務進行や業務量を可視化したりして、業務配分の偏りをなくすことで解消可能です。
業務配分の改善施策として業務を標準化すれば、社員の能力やスキルを向上できるメリットが得られます。社員は人によって能力やスキルに差があるものですが、業務を標準化することによって能力やスキルが不足する社員でも新しい業務に挑戦しやすくなるのです。
はじめは時間がかかるかもしれませんが、さまざまな業務を経験できるため成長する機会を得られます。その結果、能力やスキルが向上し、一人の社員が複数の業務をこなせる多能工化を進められるのです。
少子高齢化で労働人口が減少する現代において、社員の多能工化は企業にとって大きなメリットとなるでしょう。
社員一人ひとりの能力やスキルに応じて適切に業務配分できれば、離職率を改善できるといったメリットも得られます。特に近年は人材不足の課題を抱える企業が多いため、離職率の改善に悩む方もいるはずです。
離職に繋がる理由には、長時間労働やサービス残業があるなど労働条件に不満を感じていることが多く挙げられます。
業務配分に偏りが出ると、業務負担にストレスを感じて離職に繋がるおそれがあるのです。業務配分を見直して適切に業務を割り振ることができれば、離職率の改善が期待できます。
業務配分が改善できればブラックボックス化が防げるため、担当者不在でも柔軟に対応できるメリットがあります。
特に、近年は在宅ワークやリモートワークなど働き方が多様化しており、情報共有や業務の可視化に取り組む企業も少なくありません。
このような状況下で、担当者しか業務の進捗状況や業務進行のプロセスを理解していないと、チーム全体の業務に支障が出ることもあります。場合によっては、取引先との関係性にまで悪影響を及ぼす問題が発生するおそれもあるため、注意しなければいけません。
業務配分を改善する4つの対処法 |
社内で業務配分に偏りがある場合、どのように対処すればいいかが分からない方もいるでしょう。業務配分を改善するための対処法には、次のようなことが挙げられます。
業務配分を改善するにはさまざまな方法があるため、自社に適したものを実施してみましょう。
業務配分の改善に役立つのが、業務配分表です。業務配分表とは業務を誰に割り振るかを示した表のことで、これによって社員一人ひとりの業務量を把握できます。
業務配分表は各社員の業務量を把握できるだけではなく、進捗状況を開示できたり、責任の所在を明確化したりするなど、さまざまなメリットを得られるのです。
業務配分表を作る際は、チーム全員と個別に面談を設けるため、改めて個々の能力やスキルを再確認できます。その結果、各社員の適性に応じて業務を割り当てられるようになるのです。業務配分表は、業務を見える化したい場合に適しています。
業務を標準化したい場合は、マニュアルを作成するのがおすすめです。マニュアルを作成すれば、誰でも簡単に業務をおこなえるようになります。
しかし、自身の業務に追われてマニュアルを作成する時間を作れない方もいるかもしれません。このような場合は初めから完璧なマニュアルを作ろうとせず、運用しながらブラッシュアップしていくのもひとつの方法です。
または、社内でマニュアル作成の担当者を指名し、作成業務に集中してもらうのもいいでしょう。早めにマニュアルを作成することで属人化も防げます。誰もが使いやすく、分かりやすいマニュアルを作成しましょう。
業務配分表やマニュアルを作成しようとすると、手間と時間がかかってしまいます。手軽に業務配分の偏りを解消したいのならば、ITツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
たとえば、マニュアル自動作成ツールや社内wikiツール、ナレッジマネジメントツールなど、業務配分の偏りを解消できるITツールが多くあります。
なかには無料で導入できるITツールもあるため、費用を抑えて導入したい方にもおすすめです。自社の課題に応じてITツールの導入を検討してみましょう。
業務配分の偏りを改善する場合、業務配分表やマニュアルを作成したり、ITツールを導入したりすれば終わりというわけではありません。実際に導入してみると、ほかの問題点や改善点が出てくることも多いです。
一度設定した内容を更新して効果を検証するPDCAを回しながら改善を図り、アップデートしていくことをおすすめします。
PDCAを回して改善すれば、誰もが問題なく業務を遂行できるようになるはずです。実際に導入して「自社に合わない……」と感じたときは、対処法を変えてみるのもいいでしょう。
まとめ |
人材不足や働き方の多様化により、業務配分に偏りが出てしまうことも少なくありません。しかし業務が何とか遂行できているからといった理由で放置すると、結果的に業務の属人化や人材流出など、さまざまなリスクを起こす要因になることも多いです。
業務配分の偏りを改善したいのならば、業務配分表やマニュアルを作成するのもいいでしょう。手軽に業務配分の偏りを解消したいのならば、ITツールを導入する方法もおすすめです。
世界10万社以上で選ばれているチーム管理ソフト「monday.com」ならば、タスクやチャット、スケジュール、プロジェクトなどを一元管理できます。無料トライアルも提供されているため、興味のある方は一度試してみてはいかがでしょうか。