プロジェクトを完遂するには課題管理表を使った正しい課題の把握が必須ですが、そのためには表をわかりやすく作り、チームで共有して上手に運用することが大切です。ここでは、プロジェクトを成功に導く課題管理表の作り方と運用の要点について解説します。
目次
課題管理表の定義と目的 |
仕事に課題はつきものです。またプロジェクト規模が大きいほど課題は増え、対応する手間や時間といった多くの資源を効率よく配分する必要があるでしょう。チーム全員が正確に把握し、ときには全員で対応することもあるはずです。
ここではそのための課題管理表とはいったいどのようなものなのか、チーム全員が共有すべき定義と目的について解説します。
課題管理表とは、想定内、想定外を問わずすべての課題を解決するため、課題の内容と解決に必要なタスクおよび実施スケジュールをまとめた表のことです。
プロジェクトにはさまざまな課題が発生しますが、完遂するにはそのすべてに対応し、解決しなくてはなりません。
課題を解決するには長い時間がかかったり、多くの手間がかかったりすることが多いです。スムーズに解決するためには計画的に管理し進捗させることが必要となり、そこで登場するのが課題管理表です。
課題の内容と解決、必要なタスクおよび実施スケジュールをまとめた課題管理表は、プロジェクトの完遂には欠かせない重要なツールといえるでしょう。
プロジェクトを円滑に進めるためには、課題管理表が欠かせません。課題管理表をメンバー間で共有することによって、以下のようなメリットが得られます。
関係者が多いプロジェクトほど、情報を正しく共有することが求められるため、プロジェクトに影響するありとあらゆる課題を明確にしておくことが大切です。
すべてのタスクを無理なくこなしていくことが、スムーズなプロジェクトの進行につながります。そのためにも、課題管理表はプロジェクトに欠かせないツールであるといえるでしょう。
課題管理表作成の3つのポイント |
プロジェクト進行ために重要な課題管理表には、作成する時点で押さえておきたい3つのポイントがあります。
メンバー全員が課題解決のためタスクや課題を共有して明確に理解するためにも、課題管理表の必要項目はメンバーで話し合って決めることが大切です。また、どの課題から対応すべきかを記載し、優先順位がわかる表にします。さらに、プロジェクトでは想定外のことも発生するため、起こり得るすべての課題を網羅することも重要です。
これについて、詳しく説明しましょう。
メンバー全員が共通の認識を持ったうえで課題に取り組むためにも、課題管理表の項目はメンバーで話し合って決めます。話し合いによって決めることで、各項目における課題やすべきことをメンバーが正しく理解できるでしょう。
一般に課題管理表に必要な項目は、およそ以下の通りです。
プロジェクトによっては、項目を追加する必要があります。実際に活用するメンバーの意見を課題管理表に盛り込むことで、より実用的な表ができあがります。
ただし、項目が多すぎると表自体が見づらくなり、運用の妨げになってしまうため、項目は必要なもの、実用的なものに絞るようにしましょう。
課題管理表を作成するときは、課題を優先順位の高いものから記載します。優先順位の高い課題、それは解決がプロジェクトにとって重要な課題です。なかには解決しないと次の工程に進めないものもあるでしょう。課題は着手する、または対応・解決する順序も重要です。
課題管理表ではたくさんの課題のどれが重要で、どれを優先して着手すべきかもわかりやすいことが求められます。ただ羅列しているだけでは優先順位がわかりづらいため、「上にある課題ほど優先順位が高い」とするのが一般的です。
エクセルなどを使った課題管理表であれば、課題の項目に「優先順位」項目を設けておくと、更新後に優先度順に並べ替えることができます。
課題管理表には記載する課題は、思いつく限り「すべて」を入れ込むようにします。作成時にわかっている課題はもちろん、その後発生した課題もすべてです。課題は発生することがわかった時点で入れ、すべてを課題管理表に入れます。
プロジェクトは複雑な要素が絡み合いながら進行するため、発生した課題がどのように影響、関連するかわかりません。課題管理表へ記入すべきかどうかためらわれる課題も、必ず記入するのが原則です。必要なければ削除すればよいだけなので、むしろ課題の「漏れ」を避けることが重要である、と考えましょう。
課題管理表を効率的に作成・うんようできるITツール |
共有性と網羅性が必要とされる課題管理表だからこそ、ITツールを利用して効率的な作成・運用をすることをおすすめします。
課題管理表に利用できるITツールとしてはMicrosoft社のオフィスアプリ「エクセル(EXCEL)」や、Google社の「Googleスプレッドシート」が代表的です。他にもそれぞれ別の機能を備えた管理ツールもあるため、多くの選択肢から選ぶことができます。
課題管理表を作る方法として、表作成ソフトとして認知度が高いエクセル(EXCEL)を利用してもいいでしょう。
エクセルを利用するメリットは、以下の2つです。
課題管理表の無料テンプレートも豊富にあるため、テンプレートを利用すればゼロから作り始めるよりずっと効率的で使えるものが作れます。
デメリットとしては以下の3つがあげられます。
また、更新ファイルの共有もメールなどで送付する必要があるため、エクセルを使った課題管理表は、比較的人数の少ない小規模なプロジェクトの課題管理に向いているといえるでしょう。
もう1つの表作成ツールといえばGoogleスプレッドシートです。エクセルと同等の表作成機能がありますが、次の2点においてエクセルより課題管理表に適しているといえます。
特に共有のしやすさは運用するにあたっての大きなメリットです。サーバー上にあるファイルをURLで特定するため、メンバーには最初にURLを伝えるだけで共有でき、共有するユーザーのできることを「閲覧だけできる」「編集できる」と制限できるため、ファイルの誤った変更や紛失を防ぐこともできます。
この他、専門のプロジェクト管理用ツールなら、より豊富な機能を使って課題管理はもちろん複雑なプロジェクト管理にも対応できます。ただし、搭載された機能はツールごとに違うため、よく確認することが重要です。
多くのツールが機能を一部制限した「無料プラン」を用意しており、試しに使うことができます。実際に運用することを想定して、積極的に使ってみるとよいでしょう。
課題管理表を運用する際の4つの注意点 |
課題管理表には、実際に運用する際にも注意すべき点があります。作成したときはわかっていても、時間が経つにつれて忘れられたり注意レベルが下がったりすればプロジェクトに悪影響を与えかねません。
ここで挙げる4つの注意点は、プロジェクト完遂までチーム全体が心がけ、協力するための最低限のルールだといえます。
1.優先度の高い課題から対応する
すべての課題を一気に解決できない以上、課題は優先度の高いものから順に対応する必要があります。課題管理表では、誰が見ても同じように課題の優先度がわかるものでなくてはなりません。
着手したらすぐに担当者名を入力し、ステータスを「着手中」に変更して共有します。課題管理表では、このくらいの変更・反映のスピードが大切です。
課題管理表の目的は課題を明確にし、その対応方法を具体的なタスクに落とし込んで完了し、プロジェクトを完遂することです。タスクは担当者1人で対応できるまで細分化し、担当者と期限を決めるレベルまで具体化しましょう。
ステータスについても、単に「着手中」「完了」と記載するだけでなく、何がどうなれば着手中・完了なのかも明確にしておきます。
ゴールについても同様で、終了予定時期と完了条件を具体的に設定しましょう。例えば、「取引先に問い合わせ」と曖昧にするのではなく、「〇〇(企業名)の〇〇様(担当者名)へ、〇〇(要件や結論)の回答を得る」といったように、具体的に示します。
課題管理表をうまく共有・運用するには、メンバーがより使いやすく、そしてわかりやすい表にすることも重要です。場合によっては、表の運用方法について説明会を開いたり、使い方に迷ったときの窓口を明確にしたりといったサポート体制も整えます。
記入する用語も、一部のメンバーがわかる専門用語ではなく、一般的に理解できる用語を使い、誤解が生じないようにしましょう。
プロジェクトは時間とともに進行します。いつ、どのメンバーが課題管理表を確認するかわからないことを考えると、更新すべきときに更新し、常に最新の状態に保つことは大変重要です。更新されていないことがわかったら、その都度指摘し、改善するよう求めてください。
特に他のタスクに影響を与えるタスクのステータスは、進行ごとに都度更新する必要があります。必要性も含め、運用方法といった情報も、メンバーで共有するよう努めたいものです。
まとめ |
課題管理表は、プロジェクトの完遂までに発生する課題を網羅し、対応するための具体的なタスクの内容や期限、担当者といった項目を一覧できる表です。メンバー全員で共有し、できる限りリアルタイムでの更新が求められます。
そのためにはメンバーが課題管理表の項目や記載のルールを共有することが大切です。共有や運用のルールはメンバーを交えて定め、わかりやすく具体的で、都度更新して全員でプロジェクトに取り組むツールにしていきましょう。
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